#10 対流扇ヨドマーズづくりを求めて台湾へ
WB工法の家づくりには、さまざまな発明が盛り込まれている。
対流扇ヨドマーズもそのひとつだ。
室内の空気を対流させるのだが、よくあるシーリングファンは風が起きるし、音もうるさいのが欠点だ。
ヨドマーズは、風を起こすのではなく、気圧の高低によって空気を対流させるものなので、風が起きないうえに、音も静かというメリットがある。
そのうえ省エネというおまけつきだこの構造を思いついたとき、寺島は「これは売れる!」と確信し、ある電気メーカーの開発部長に共同開発の相談を持ち込んだ。
ところが、製品の素晴らしさは認めるものの、新製品は消費者に認知されるまでが大変ということで、こちらが望む答えはもらえなかった。
「こうなったら自社で造るしかない」ここでも寺島の負けん気が出た。
1つの製品を部品ごとに形や製造方法を考えて発注、ほぼこれだけ揃えばできるだろうという見通しが立ってきたが、たったひとつ造れないものがあった。
モーターである。
メーカーに供給依頼をしても「部品販売はいたしません」という応え。
行き詰まった寺島はファンを30台購入し、そのすべてからモーターを取り出してみた。
そこまでやった結果は、産業廃棄物の山をこしらえただけだった。
しかし、そこであきらめる寺島ではない。
モーターをさらに分解し、製造刻印を見ていくと、ベアリングにかすかな刻印を発見した。
そこには「TAIWAN」の文字が刻まれていたのだ。
さっそく台湾のファンモーターを造っている会社を探し、一路、台湾へと向かった。
台湾は、一昔前の日本のように「ものづくり」に情熱を傾ける町工場がひしめく町だった。
突然日本から訪ねていった寺島に、台湾の工場はいろいろな製造現場を見せてくれた。
「モーターだけでも売るけれど、全部をつくる技術もあります」小さな工場で、必死に働く「ものづくり」の人たちの姿が、寺島には新鮮に映った。
「台湾でつくってみよう」寺島はいつしか台湾の「ものづくり」にかけてみようという気持ちになっていた。
引用:https://www.wb-house.jp/wb/story