#16(最終話) 長い道のりの果てに手にした大臣認定

そもそも24時間換気システムの義務化のきっかけとなったのは「シックハウス症候群」である。

それは、国をあげて普及したプレハブ住宅が原因だ。

それで国民に大きな健康被害が及んだ。

それに対して国のとった対策は、24時間換気システムを義務化することだ。

これでは、根本的な解決にはならず、付け焼き刃の対処をしようとしているにすぎない。

「20条の7」は、その住宅の弊害をなくし、換気設備を使わずに安全を保証するものである。

その資料をこちらから提供し、それを公開しようとしている者の足を、国が引っ張っている。

私は大臣への陳情を行い、行政訴訟に踏み切ることまで決意して、非公開ながら通知まで出した。

覚悟はできていた。

WB工法で建てた家は、ホルムアルデヒドの数値が極めて低いことが実証されている。

これはゆるぎない事実である。

家を建てたことがない学者たちが理論だけで作り上げた「24時間換気システム」は、実際に現場側から見れば、家中の空気が入れ替えることは無理で、一部の空気が入れ替わっているにすぎないことが明白なのだ。

しかし、国の立場とすれば、換気の義務化をして半年も経っていない時点で、それを覆すような法律は作れない。

それだけのことだった。

審査が終盤にさしかかったころ、ようやく結論が出た。

「20条7の申請に対してすべてを認めることはできないが、化学物質が壁を透過することによって室内の機械換気が不要となることは認める」というものだ。

寺島が主張してきた「透湿透過」の「透過」だけを認めるということだった。

ここまでたどりつくまでに3年。

けっして100%満足のいく結果ではなかったが、とりあえずの「大臣認定」までこぎつけた。

平成18年8月11日、待望の大臣認定証書が交付された。

「WB工法で建てた家には24時間換気設備は不要である」と国が認めた証である。

長く厳しい戦いの中、5万4千人の仲間とともに手にした価値ある国の認定だった。

引用:https://www.wb-house.jp/wb/story