#4 赤ちゃんからお年寄りまで健康に暮らせる家をつくりたい
暖かい部屋の壁際で上昇気流が起きているのに対して、壁の向こう側では冷たい空気が下に下がる“コールドドラフト現象”が起きている。
つまり、床下の冷たい空気が、グルグルと壁の中を循環しながら、家全体を冷却するように動いていたことになる。
蒸れ・腐れを防ぐために、壁と壁の間の空気を止めなかったことが、寒さの原因だったのだ。
外気温が0度のとき、床下の温度は通気を止めていても8度ぐらい。
その冷たい空気が壁一枚隔てたところを流れていたのでは、寒いはずだ。
夏の暑さと湿気対策に適した在来構法の家の弱点は、冬の寒さ。
これさえ解決できれば自分が理想とする家づくりができるはずだ。
寺島の課題が明確になってきた。
タバコの煙から偶然発見した空気の流れ。
冷えた空気が壁に流れているから寒いのだから、冬は壁の中の空気を動かないようにする必要がある。
寺島の頭なかで、何かが動き始めた。
WB工法につながるアイデアの素が生まれた瞬間だった。
家づくり一筋にやってきて、「何かがおかしい」と感じたのは、大工として、棟梁としてだけでなく、人間としての直観であったかもしれない。
「まず、なによりも赤ちゃんからお年寄りまでが健康に暮らせ、家が蒸れたり腐ったりせずに長持ちする、みんなを幸せにできる家をつくりたい」棟梁・寺島のガッツがめらめらと燃え始めた。
引用:https://www.wb-house.jp/wb/story