第1章(4)まさか人の健康まで!

4.まさか人の健康まで!

反動は『家の健康』の悪化だけにとどまりませんでした。

家を建てて体調が悪くなる人が増え始め『人の健康』に影響が出始めたのです。

量販店は湿気に弱い材料の性質を補うためビニールハウスでおおいました。

結果、現代住宅はビニールハウスとなります。

冬は熱も逃げませんが生活の中で大量に発生する水蒸気も行き場をなくし、人にさまざまな症状を引き起こし始めたのです。

ビニールを貼った室内は湿気を吸収排出できずカビっぽくなり、カビはダニをよび喘息やアレルギーなどの原因となります。

家による健康被害を『シックハウス症候群』といいます。

カビやダニにさらに輪をかけて深刻な問題もおこり始めます。

新建材の接着剤に使われている化学物質(防虫剤・防腐剤)がビニールによって室内に充満しはじめたのです。

いけないことに、化学物質は湿気に揮発しやすい性質です。

ビニールでおおってしまった室内は湿度が高くなりやすく揮発しやすく、湿気ととけでた化学物質が壁を抜けず充満します。

現代の子供たちはまるで1年中花粉が飛ぶようなカビ・ダニ化学物質の充満する室内で、アトピー、喘息、慢性蓄膿症、発心、頭痛などアレルギー症状を患うようになります。

結果、日本人の2人にひとりはアレルギー患者となりました。

食物アレルギーもさることながら、人が一日に摂取する空気の重さは実に15~20㎏となります。

食べ物と水で約2㎏といいますので約10倍摂取しています。

空気環境の体への影響は極めて大きいのです。

そしてシックハウス患者の約8割が家に長くいる女性と子供です。

職場は大勢が出入りするので喚起され濃度は上がりにくいのですが、住宅は出入りが少なく家事などで水蒸気を多く出すので条件が悪いのです。

新建材が増え高気密化が進み、必然的にシックハウスの患者が急増します。

厚生労働省が重い腰を上げ全国調査(2000年)を行います。

結果、国の基準値を大きく超える濃度が検出され24時間換気設置の義務化総量規制を実施します。

しかしこの実施は24時間換気扇を回し、新鮮とはいえ冷たい外気を入れ、室内の暖かい空気をだしてしまうことになり、夏も逆で冷暖房効率の悪い家に戻ってしまったのです。

また、化学物質の規制は13物質です。それらの濃度はは下がりました。しかし他にも大変な大変な種類があり家具類には規制がありません。

総量を示すTVOCは国の基準をきれない家が多く、患者は減るどころか増えているという専門家もいるのです。

全国の伝統家屋を守り『採算より安全』『量より質』を重視してきた地域の工務店さんや大工さん達は悩みました。

どうしたら冬は暖かく、夏は涼しく、家が長持ちし、人が病気にならない家ができるのか。